PARCO CASA

PARCO CASA 制作Story

「それぞれの分野でノウハウを持つ企業同士のコラボレーションを実現」

安定した賃貸経営のためには、建物が魅力的であることが大切。でも、実際にはその部分が手薄で失敗に至るケースもある――賃貸経営の問題点を見極め、異分野の企業同士のコラボレーションを舵取りした、ファイナンシャルプランナー(FP)の山口英一先生にお話を伺いました。

山口 英一さん

株式会社イーズエフピーオフィス
代表取締役 ファイナンシャルプランナー 山口 英一さん

ハウスメーカー、保険会社勤務を経て2012年株式会社E’sFPオフィス設立。個人・法人の「資産」について形成・管理・相続の視点から1700件を超えるコンサル実績を持つ。ゴルフ・スキーが大好きで、地域で子供たちのバドミントンコーチもしているスポーツマン。今回、建設会社(ミサワホーム東京)と賃貸仲介・管理会社(ハウスメイトショップ、ハウスメイトパートナーズ)の仲立ちをして、パルコカーサのプロジェクトの舵取り役を務めた

お客様の要望に応えるために
このスタイルがベストだと考えました

ー山口先生の発案で、ミサワホーム東京様とハウスメイト様のコラボレーションが実現。パルコカーサプロジェクトがスタートしたと伺いました。建設会社と仲介・管理会社が組んで物件をつくり上げるのは、とても珍しいことですよね。どのような流れで、今回のコラボレーションが実現したのでしょうか?

山口先生「ミサワホーム東京様から、2013年1月頃に『相続対策をふまえた賃貸経営の相談案件がある』とお声かけいただいたのが、そもそもの始まりでした」

ー当初は、ミサワホーム東京様と山口先生が、オーナー様(当時は契約前なので、まだオーナー様ではありませんが)のご相談に乗っていたわけですね。どのような経緯で、ハウスメイト様が加わることになったのでしょうか?

山口先生「オーナー様は、初めての賃貸経営に不安を感じている様子でした。とても勉強熱心な方々なので、調べるほどに疑問や心配が生まれてきたのだと思います。確かに、少子高齢化や賃貸物件の供給過剰で、人口第一位の東京都内でも空室率は増加しています。そんな中で、安定経営はオーナー様の強い希望でした。その気持ちに応えるためには、計画段階から賃貸経営の現場を知るプロフェッショナルの目が必要だと思い、ハウスメイト様の力を借りることにしたんです」

ー数ある賃貸管理・仲介会社の中で、ハウスメイト様を選んだ理由は?

山口先生「その頃別件で、ミサワホーム東京の担当者様から、ハウスメイトパートナーズの谷さんをご紹介頂いていたんです。長年、賃貸経営の現場に携わるプロであることはもちろん、地元の事情もよくご存じなので、適任だと思いました。谷さんのお人柄もわかっていましたし。ミサワホーム東京様とハウスメイト様は、セミナーなどを通じてお付き合いがあるとのことで、話も通じやすいかと思いました」

ーオーナー様の反応はいかがでしたか?

山口先生「管理・仲介のプロが中に入ることで、賃貸経営のリアルな現状を知ることができ、大きなメリットだと感じていただいたようです。実際に、ミサワホーム東京様が手がけた成功事例の現場見学会にもお連れして、理解を深めていただいたりしました」

いかに入居者が満足する物件を建てるか
賃貸経営はオーナーの考え方次第

ー今回、このような企業のコラボレーションを舵取りされたのは、初めてのことですよね?振り返ってみていかがですか。

山口先生「異なる業界同士ですから、最初は認識のずれなどもありましたね。そこは仲 人役の私の頑張りどころで(笑)。たとえば、建設会社は『こんなことで家賃が上がるの?』、仲介・管理会社は『こんなことで建築費が上がるの?』…と、お互い事情が分からずに驚くこともありました」

ー皆さん、仕事の進め方としては初めての形式だったので、戸惑いもあったでしょう。でも、今回のプロジェクトが完了したことで、成功事例として今後につなげていけそうな感じがしますね。

山口 英一さん

山口先生「かなりパワーはかかりましたが、とても魅力的な賃貸物件ができあがったと思います。オーナー様の想いと、携わったプロの力の結集ですね」

ー今後、賃貸経営を考えている方に向けて、お伝えしたいことはありますか?

山口先生「『いい物件をできるだけ安くつくり、できるだけ利益を出したい』と考えるのが人情だと思いますが、それでは結局、安かろう悪かろうになりがちです。目先の勘定だけに囚われてしまうと、先々に大きな差となってあらわれます」

ーそれは、たとえばどんなことでしょうか?

山口先生「コストを下げるために壁を薄くしたら、騒音問題で入居者が定着しないとか。安い建材を使用したら、10年後にメンテナンスで高額な費用がかかってしまったとか。残念ながらそういう事例が少なくありません」

ー建築費の安さばかりにこだわると、後で思わぬトラブルや出費が発生してしまう…。また、入居者が定着しなかったり、なかなか決まらないということにもなりかねませんね。

山口先生「オーナーも入居者の気持ちになって、どんな物件なら住みたいかを考えていただく事が今後さらに大切になります。また、長期的な視点で収支を考えるべきだと思います。賃貸管理ではなく、賃貸経営を行うのだという覚悟をもって、経営者の視点で取り組むべきですね。その際には、ぜひプロの力を味方にしていただきたいと思います」

それぞれの分野のプロが力を合わせて、今までにない形で仕事を進め、一つのプロジェクトが実を結びました。今回のコラボレーションが、同じような志をもつプロたちの道筋となってほしい。そう感じた取材でした。
(取材・文/川口章子)