PARCO CASA

PARCO CASA 制作Story

「オーナー様のご希望に応えるために、
各分野のプロフェッショナルと組みました」

住宅建設会社が、ファイナンシャルプランナーや仲介・管理会社と組んで、相続対策としての賃貸物件を完成させる――長期安定経営を望むオーナーの希望に応えて、新しいプロジェクトを実行した、ミサワホーム東京株式会社の宮平さん、菊池さんにお話を伺いました。

宮平 晋吾

ミサワホーム東京株式会社 東京北支店 資産活用課
課長代理 宮平 晋吾さん

1998年入社。展示場営業~賃貸管理部門を経て、オーナー様の資産活用をサポートする現在の部署に。そのきめ細やかな対応はたくさんの資産家に評価され、2014年は営業成績全国9位となった。趣味はサッカーで、2児の父でもある。今回、住宅建設会社の営業担当としての立場から、パルコカーサのプロジェクトに関わる

従来のやり方に囚われず
新しい賃貸住宅づくりにも柔軟にトライ

ー賃貸市場の変化は大きく、従来のやり方では先々の安定経営が難しい時代と言われます。賃貸住宅を建築する際に、外部のファイナンシャルプランナーや仲介・管理会社と組んだのは、御社でも初めてのケースだったとか。このような新しい挑戦も必然だったのでしょうか。

宮平さん「そうですね。オーナー様の希望に応えるためには、既成概念に囚われない、柔軟な対応が必要だと考えています。今回のプロジェクトを舵取りしてくださった、ファイナンシャルプランナー(FP)の山口先生には、将来の相続をスムーズにするため、また長期安定経営のためのコンサルティングをお願いしました。また、地元の賃貸市場を熟知しているハウスメイト様には、入居者目線での賃貸住宅づくりについてアドバイスをお願いしました」

ー異業種がタッグを組んだプロジェクトに対して、オーナー様の評価はいかがでしたか?

宮平さん「各分野のプロが集まることで偏りのない視点が期待できる、また、安心して任せられるとおっしゃっていただけました」

菊池 俊隆さん

ミサワホーム東京株式会社
東京北支店 デザイン室
菊池 俊隆さん

1997年入社。設計部~営業を経て、お客様の声や希望を反映し提案をするデザイン室で活躍をしている。全国のミサワホームの優秀なデザインを決めるコンペにて2年連続最優秀デザイナーに輝く。今回、住宅建設会社の設計担当としての立場から、パルコカーサのプロジェクトに関わる。今回のプロジェクトにも彼らしいこだわりが随所に見える。西粟倉村の無垢の床が導入できたのも、「業界の常識にとらわれず、良いものは取り入れてみよう」と言ってくれた菊池さんのおかげ。

ー設計の立場で感じたメリットは?

菊池さん「日頃、直に接する機会のない“賃貸住宅の入居者”の生の声を、仲介・管理会社の方々から聞くことができたのは新鮮でしたし、さまざまな発見もありましたね」

ーたとえばどのようなことでしょうか。

菊池さん「入居者の希望として、“バルコニーはそれほど広くなくてよい、洗濯物が干せる程度の広さでOK”、“収納が少ない6畳の部屋より、5畳でも収納十分の部屋がよい”等々…。オーナー様は“6畳”という数字にこだわる方が多いのですが、入居者はそれほど気にしていない。それよりも収納スペースに余裕があって、スッキリ暮らせる部屋を望んでいるという現状に、なるほど!と思いました」

ーFPや仲介・管理会社の視点が、今回の物件にどう生かされているか、興味があります。

宮平さん「オーナー様は三人兄弟。将来の相続がスムーズに進むようにとFPの山口先生からのご提案もあり、建物は6棟としました。これで、2棟ずつ平等に相続することができます。また、長期安定経営の視点から、建設費用が多少かさんでもメンテナンスが楽な仕様を選びました。たとえば、外壁は再塗装が不要なタイル貼りにしています。窓は複層ガラス、アルミ・樹脂複合サッシを採用。これは、居住性を高めるだけでなく、結露の心配が少ないので躯体を長持ちさせるという意味もあります」

菊池さん「視線が重ならないよう住戸同士の窓の位置を配慮したり、音の問題、日差しや眺望を重視した結果、全室角部屋でプランも全て違うんです。賃貸住宅としては珍しいケースだと思います。プライバシーに配慮し、入居者が心地よく住み続けられるよう、ハウスメイト様からのアドバイスを受けて、住み手の視点を随所に盛り込みました」

関連する分野をより深く理解することで
建物の設計にも好影響が

ー今回のような試みを、今後も続けていきたいと考えますか?

宮平さん「そうですね。今回は、各分野のプロが関わることで多角的にプランを練り上げることができ、いい形で実を結んだと思っています。今後も、オーナー様の希望を叶えるために、このような新しい挑戦を続けていきたいと思います」

菊池さん「仲介や管理という関連分野をより深く理解したことで、設計上もいい影響がありました。このような仕事のしかたは、競合対策の面でも強い武器になるのではないでしょうか」

ー現場を実際に拝見しましたが、オリジナリティに溢れていて、ここにはどんなコミュニティが育っていくのだろう?と思わずにはいられませんでした。今後、賃貸住宅の新しいスタイルとして、話題の場所になっていくかもしれませんね。

菊池さん「現時点ではまだ竣工前ですが、入居者同士のコミュニケーションのために、敷地内に中庭をつくったり、ベンチを設けて現代の井戸端のようにつかってもらおう…など、さまざまな仕掛けも試みています。入居がスタートしてから、どのようなコミュニティが醸成されていくか、今後も楽しみです」

今までに前例がなく、初の試みだというこのプロジェクト。大手住宅会社としてのノウハウを活かしつつ、新しい風を取り入れたことが、社内の活性化にもつながっている印象を受けました。
(取材・文/川口章子)