PARCO CASA

PARCO CASA 制作Story

「この土地を守り、地域のコミュニティーを育てたい。
その想いが形になったのが“PARCO CASA”です」

先祖代々が守ってきた西新井の土地と、自分たちを育ててくれた地域のコミュニティー。そこに、並々ならぬ愛着と思い入れを持っていると語る、田口昌宏さん、順功さん、宗孝さんの三兄弟。信頼できる専門家と出会い、パルコカーサのオーナーとなるまでの経緯を伺いました。

パルコカーサのオーナーである、田口家の三兄弟。
写真中央・昌宏さん(長男)、写真右・順功さん(次男)、写真左・宗孝さん(三男)

長年、銭湯経営をしながら
土地を守ってきた父の想いを継いで

ーパルコカーサが建つこの場所には、お父様が経営する銭湯があったそうですね。地域の方々が集う場として長く愛されてきたと伺いましたが、今回、賃貸経営へと転換された経緯を教えてください。

昌宏さん「私たち兄弟は銭湯を継がずに就職しましたから、両親が二人三脚で頑張っていました。以前は父も辞める気がなかったのですが、最近は高齢になり、体力的に厳しいことを自覚したのでしょう。先々のことを話しても耳を貸さなかった人でしたが、自ら廃業を決め、私たちに『この土地を任せる』と言ってくれました」

ー昔ながらの銭湯と駐車場があり、かなり広い敷地ということで、ご兄弟としては相続のことがずっと気がかりだったのではと思います。先祖代々の土地を守りたいという気持ちがある以上、無策ではいられませんよね。

順功さん「だいぶ前から、兄が相続関連の相談会に出かけてくれたりしていました。相続税の概算を父に見せて、『今、相続することになったら、これだけの税金を払わなければこの土地を守れない』と話したこともありました」

宗孝さん「でも、以前は相続対策の話を持ち掛けても、結局親子喧嘩になっていました(苦笑)。喧嘩になって話が中断して、の繰り返しで。その頃は、父もまだ元気だったんですね」

ー家族会議で、お父様が『銭湯経営に悔いはない。後のことは三人に任せる』と決断したのが2013年の1月。そこから、どのように話を進め始めたのでしょうか?

昌宏さん「最初は8社に相談をして、3社まで絞り込みました。相見積もりをとりコンペ形式で進めたのですが、平日は仕事が終わってから打ち合わせ、休日も…と、大変な日々でした。途中、消費税増税のタイミングもありましたが、急いては事をし損じると考え、増税前の契約は見送って検討を続けました」

土地への想いを100%理解して
形にしてくれるプロフェッショナルとの出会い

ーその絞り込んだ3社の中に、ミサワホームさんがあったわけですね。最終的に、依頼先に選んだ決め手はどこにあったのでしょうか?

昌宏さん「やはり、お金のプロ(FPの山口先生)、賃貸管理・仲介のプロ(ハウスメイトパートナーズの谷さん、ハウスメイトショップの元山さん)、建築・設計のプロ(ミサワホーム東京)がタッグを組んでくれていたことが大きいですね」

ープロの皆さんとは、長い時間をかけて話し合いをされたそうですが。

昌宏さん「まだ契約をする前ですが、ハウスメイトさんとは30時間くらい話をしたと思います。賃貸経営の現場をよく知る方々ですから、初めての賃貸経営で不安なことや不明な点を、じっくり時間をかけて解消していきました」

宗孝さん「私は仕事柄(情報関連)、市場や現場の動きなど、賃貸会社だからこそ出せるデータが欲しいとお願いしましたね」

順功さん「時間をかけて話をする中で、私たちがこの土地に抱いている想いも理解してもらえたと確信しました」

ー利回りを優先すれば、もっと規模の大きい賃貸住宅を建てるという選択もあった。でも、御三方の希望はそうではなかった。長く安心できる賃貸経営、そしてコミュニティーを大切にするという考え方。それらすべてを理解してもらった上で、プランを進めて行けたわけですね。

昌宏さん「普通はこういう仕事の進め方(異業種のコラボレーション)はしないと聞き、ミサワホームさんの懐の深さを感じましたね。山口先生にも仲介役としてご活躍いただき、感謝しています」

ー話を進める中で、兄弟喧嘩にはならなかったのですか?

宗孝さん「そこが3人兄弟のいいところで、意見が割れても必ず2対1。多数決で決まるんですよ(笑)」

順功さん「それに、父は長男には厳しく言うのですが、次男三男に対してはそうでもない。ですから、父に意見するのは次男三男の役目です(笑)」

ーなんとも絶妙なバランスですね。皆さん働き盛りでお忙しく、話をまとめていくのも大変だったと思いますが。

宗孝さん「そこはITを駆使しましたね。『パルコカーサ』の名称を決める時も、兄弟間すごい勢いでLINEが飛び交いました!」

入居者の間でコミュニティーが育ち
長く安心して住める場となることを願って

ー手探りのスタートから、想いを託せるプロとの出会いを経て、パルコカーサという形に結実したわけですが、今後のビジョンは?

昌宏さん「この地域は、年々高齢化が進んでいます。このままでは、大切なコミュニティーを存続できません。パルコカーサには、若い世代に長く入居してもらい、ここから地域の若返りや活性化を図りたいと思っています」

順功さん「そのためにも、日当たり・風通しのいい部屋、無垢の床(LDK)、親子で入れる広い浴室など、子育て世代のためにさまざまな配慮をしました。6棟をゆったり配置して、敷地内で子どもたちが安心して遊べるようになっています」

宗孝さん「先日は、入居者の皆さんを招いてバーベキューパーティを開きました。早速ご近所同士で話に花が咲き、コミュニティーの輪が少しずつ広がっています」

昌宏さん「私は町内会の仕事も長く続けていますが、コミュニティーづくりは継続することが大事なんです。今、生まれている小さな芽を大きく育てるには、大家である私たちの努力も必要。そして、入居者の皆さんの中から自主的な活動が生まれてくれれば理想的だと考えています」

実は、取材当日に「昨日、満室が決まった」という嬉しい報告が。『コミュニティー賃貸住宅』というコンセプトに賛同して、入居を決めた方ばかりだそうです。ここから生まれた芽が大きく育ち、地域の活性化につながっていくことを願いたいと思います。
(取材・文/川口章子)