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「探究心を持って、今でもがんがん勉強しています。」イベントマスター堀川健さん(52歳)

様々な業界で活躍する大人に、これまで地道に積み重ねてきたことや乗り越えてきた苦労をインタビューする「大人の散歩道」。現在、活躍する大人はどんな生き方をしてきたのか。今も昔も変わらない大切なことを伺っていきます。  
今回は、華やかな舞台を支える縁の下の力持ち、イベントマスター 堀川健さんのお話です。30年に及ぶキャリアのなかで堀川さんが手掛けてきたのは、著名ミュージシャンのLIVEや国際映画祭、有名女性ファッション誌のイベントなど、実に3,000以上。そんな堀川さんがずっと大事にしていることとは。

僕はイベントに関わることなら本当になんでもやっています。音響オペレーターとして動くこともあれば、プロデューサーとしてゼロから企画を立ち上げる場合もある。足りない部分を埋めてイベントをきちんとした形にするというのが僕の仕事です。

無用なプライドを打ち砕かれた新人時代

大学を卒業後、新卒で老舗のイベント設営会社に入社しました。今、就職活動している人たちも夢や希望で会社を選ぶことが多いと思いますが、僕も同じです。「本気でこれをやるぞ!」というより、派手そうなマスコミで働きたいなって。でも、現実は厳しくてマスコミは全敗。諦めきれず少しでもそういう世界に近づきたくて分厚いリクルート雑誌をめくました。それで、偶然その会社を見つけたんです。
僕は、その会社の大卒一期生でした。色々な先輩がいたので最初は面食らいましたよ。「大学出てるくせに、ロープの結び方一つ知らないのか、この野郎」って。現場でよく怒鳴られたり。でもその会社に限らず、学生からプロの世界に入るときには、無用なプライドを打ち砕かれるところから始まりますよね。いきなりプライドをぐちゃぐちゃにされて、そこから一個一個覚えていくという。当時は、朝一で現場に駆けつけて、設営して、イベント中はトラックで寝て、終わったら片付けて最後に帰るという毎日でした。大変でしたが、僕はそういう世界が嫌いじゃなくて、一生やっていてもいいなという感覚もありましたね。一、二年働いてある程度仕事を覚えたら、古株の人たちにパートナーとして認めてもらえましたし。

色々な立場を経験したことで他人の仕事がわかるように

でも、入社して5年ほど経ったとき、VIPも出席したあるイベントで、プレスセンターの設営中に大きな怪我をして、現場仕事ができなくなってしまった。しばらくは事務方をやっていたんですが、現場に出られないストレスもあるし、一箇所でじっとしていられない性格だったので、思い切ってイベント企画会社に転職しました。そこでも5年くらい働き、その後、広告会社を渡り歩いたりして色々な経験を積んで、独立したのは10年ほど前。キャリア的には、会場設営から広告会社のセクションを束ねての大きなイベントプロデュースまでやっているので、一通りすべての立場を経験しているわけです。だから、今、フリーになってどの立場にいても、だいたい他の人の仕事のことがわかるんですね。

スポンサーさんの言葉を職人さんの言葉に翻訳する

どんなイベントでも基本的に組み立ての関数はほぼ同じです。イベントって要は時間と空間のプロデュースだから、その時間と空間をどう作っていくのかという要素さえ決めていけばどんなイベントだって出来上がる。企画書とスタッフマニュアルと台本というフォーマットを埋めていく作業がイコール企画とも言えます。僕はいつもスポンサーさんにそういうやり方で行きましょうと提案しますね。それは、数万人規模のイベントでも、数十人レベルのものでも同じです。
そうやって、ニーズに合わせて実施する形が決まったところで、スポンサーさんとプロの世界(照明さんや音響さんなどの専門職)をつなぐのが、イベントディレクターの役割です。やると決まったことを技術さんに、技術さんの言葉で伝える。お客さんのイベントに対する慣れ度も千差万別ですから、イベントディレクターはその両者をうまく橋渡しするための要となります。専門職の人は気難しかったりするので、伝え方とかも大事ですね(笑)。

見えないファインプレイを生むノウハウ

トラブルが起こる可能性の無い現場なんて一つもありません。僕はそれを、理論ではなく経験値としてわかっているので、危険を予測して事前に対応することができるんです。そうすると、表面上は何も起きません。何も起きないからファインプレイには見えないんですが、それがノウハウなんです。それをわかってくれているスポンサーさんや広告会社さんは、「とりあえず、堀川はいてくれるだけでいいから来てくれ」って呼んでくれます。ある意味保険代わりですね(笑)。
ただ、そうは言ってももちろんトラブルをゼロにすることはできません。僕だって何度か冷や汗をかいたことがありますよ。ある大企業の新製品発表会の現場に僕はプロデューサーとして入っていました。その日はいつもと同じ段取りで、そんなに難しい現場ではないはずだったんです。でも、リハーサルが終わって、お客さんや報道陣の入場まであと30分というときに、大規模な機材トラブルが発生してしまった。機材故障自体はよくあることなんですが、それとはレベルが違うトラブルでした。スポンサーさんにとっては社運を賭けた絶対に失敗できないイベント。なんとかしないといけない。会場が大混乱になるなか、僕はステージに上がってセンターマイクをとり、トラブル対応のすべてを指揮しました。異例のことでしたが、残り30分という時間のなかで立て直さなければと必死で、それ以外の手段は考えられなかったんです。最終的にはなんとかなりましたが、あのときは本当に焦りましたね。

現場が始まれば、イベントの完遂だけが目的になる

ひとたび現場に入ってしまえば、イベントを完遂することだけが目的になります。成就同期一本で、ロジックがひとつになる。そんななかで若いアルバイトと一緒に仕事をすると、色々な子がいますね。僕はこれまで何万人と接していますが、同じ方向を見てくれる子、自分の持ち分をわかってくれる子というのは本当に一緒に仕事がやりやすい。一方で、いきなり自己主張から入る子もたまにいます。自分も小生意気な小僧だったんで自己主張はいいわけですよ。だけど、TPOがある。みんなが目的に向かって一つになっているときに、別の動機や目的を持っている子がいるとちょっと辛い。場合によってはその場で帰ってもらうこともあります。

知識を身につけておけばいつかは役にたつ

「ダッシュ村」に農業アドバイザーとして出演されていた三瓶明雄さんみたいな大人は尊敬しますね。明雄さんは、農業や農作業の知識だけにとどまらず、それに連なる植物や動物、肥料の知識にも詳しかった。僕は、本来の人間の姿ってああいうものなんだろうなと思うんです。イベントもそれに似たようなところがあって、分業するから自分の範疇以外の知識はいらないということではなくて、いつか何かの役にたつときがくるかもしれないし、必要になることがあるだろうから身につけてみよう、という探究心は大事。だから、僕も興味のあることは今でもがんがん勉強しています。

堀川健さん
SouthernWindowTechnology

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