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「チャンピオンを頂いた今、今度は伝える番」erikonailエグゼクティブマネージャー/ネイリスト 井筒貴子さん

 様々な業界で活躍中の大人にインタビューする「大人の散歩道」。現在、第一線で仕事する大人はこれまでどんな生き方をしてきたのか。今も昔も変わらない大切なことを伺っていきます。  
 今回は、ネイル歴22年、今もトップを走り続けるネイリスト 井筒貴子さんのお話。井筒さんは、年に一度開催されるネイル業界最高峰の大会「世界ネイリスト選手権(NAIL EXPO)」で、並み居る国内外のコンテスト上位者を抑えて3連覇中。通算5度の世界チャンピオンという輝かしい実績はまさに世界のトップネイリストです。さらに、教育者としても教え子を次々と日本チャンピオンに導くなど高い手腕を発揮されています。そんな井筒さんに、ネイルの魅力やプロの技、技術の継承などについて語っていただきました。

ネイルの施術には大きく分けて3つの種類があります。
・爪に色を塗る「マニュキュア」
・爪に塗ったジェルをUVやLEDライトで固める「ジェルネイル」
・アクリルリキッドとアクリルパウダーを混ぜ人工爪を作る「スカルプチュア」
この3種類のうち「スカルプチュア」は、しっかり練習を積んだプロにしかできないネイリストの最も高度な技術です。私が世界チャンピオンを頂いたのは、「スカルプチュア」のなかでも、先端を白く作り上げる「フレンチスカルプチュア」というスタイル。他に装飾を一切加えない、それ自体でデザインとして完成したシンプルなネイルです。

コンテストに向けて磨いた技術をお客様のために活かす

フレンチスカルプチュアのコンテストでは、出場者全員が同じデザインを作っていきます。だから本当にミクロの差を競うんです。審査基準としては、「スマイルライン(色の境界線)が均一か」「左右対称か」「横から見た爪の形が綺麗か」といった細かい項目がたくさんありますが、一般の方から見ると、特に上位の差はわかりにくいかもしれません。一方、私たちプロは、同じものを数え切れないほど作り続けているから違いがわかる。ほんの僅かですが、そこには確かな技術の差が存在するんです。
技術を磨くためには、手で覚えるしかありません。私は普段から、お客様に実際に施術するサロンワークをメインにさせていただいているのに加えて、コンテストの2ヶ月前からは今でも毎日練習漬けです。出場するからにはもちろん優勝を目指します。ただ、結果として受賞するとかしないというよりも、コンテストに向けて練習することで技術を磨き、サロンワークでそれをお客様のために活かすことの方が大切だと思っています。

爪が綺麗になることで、気分も変わる

コンテストとサロンワークは全然違います。時間制限の厳しいコンテストでは、メンタルも大きく結果を左右しますし、技術的に、人口爪を紙一枚程度の薄さで作らなければいけないという制約もあります。日常生活だとすぐに折れてしまう薄さです。サロンでは、爪の長さが伸びるところ以外は、お客様が次に来店される時まで全部維持できるように仕上げるので、そこは大きな違いです。サロンワークでのお客様のネイルの色や長さは、その方の雰囲気や生活スタイル、そして爪の形に応じて一緒に決めていきます。爪って本当に千差万別なんです。だから、それぞれの爪に対して、自然に無理なく一番綺麗に見えるように作ることを心がけています。爪にコンプレックスを持って来店される方もたくさんいらっしゃいますが、施術後、爪が綺麗になって気分が変わったとおっしゃって下さる方も多いです。爪って自分の目にも他人の目にも留まりやすい場所ですから、すごく重要なんですよ。

学び始めて数十年経った今も、毎年技術の上達を実感

そもそも私とネイルの出会いは、学生時代に勉強していた絵と結びつく仕事として、友人にネイルアートというものがあることを聞いたのがきっかけでした。それで、ネイルスクールに入学し、ネイルケアから爪の構造、アートまで幅広く学ぶなかで、フレンチスカルプチュアを知ったんです。すぐにその魅力の虜になり、絶対にマスターしようと決意しました。フレンチスカルプチュアの技術は知れば知るほど本当に奥が深い。それから数十年経った現在でも、一昨年より去年、去年より今年というように、未だに自分の技術の上達が実感できるほどです。しかも、技術が向上した分、目指す理想形も高くなっていくのでいつまでも終わりが見えない。同じように年々レベルアップしている他のネイリストの方達とみんなで切磋琢磨し続けています。

生徒に教えることは自分自身の技術の上達にもつながる

ネイルスクールを卒業後、2年ほどサロンで働いたところで、縁あってスクールで講師を務めることになりました。だけど、教えるだけだとどうしても自分の手を動かすことが少なくなって技術が上達しづらい。そこで、昼はスクールで教え、夜はサロンで働いて、という生活を5年程続けました。
もちろん教えるということ自体も技術の上達につながります。ネイルを客観的に見られるようになるということもありますし、いい例としても悪い例としても「こういう癖があるからこういう形になるんだ」というパターンを摑めたりもするので。生徒さんに教えることは、自分自身の勉強にもなっているんです。

自分たちがネイルを文化として普及させていくんだという自覚

私たちの頃は、「早く技術を習得したい」とか「一分一秒も無駄にしたくない」という気持ちで学んでいました。技術を磨くためにはお金も惜しまず、当時本場だったアメリカに最新技術を学びに行ったりも。今でこそ日本のネイルは世界トップクラスですし、ネイルサロンが普通にある世の中になっていますが、当時はまだ、「ネイリスト」という仕事自体、職業としてきちんと確立してなかったし認知もされていなかったんです。だから私たちの世代は、ネイルをただ可愛いとか綺麗という流行で終わらせないように、自分たちがきちんとした技術を身につけ、文化として日本に普及させていかなければならないという自覚を持っていたんです。それで、みんな手探りしながら、真面目にがむしゃらに頑張っていたんだと思います。

自分の技術を包み隠さず伝え、後進を育てる

私がフレンチスカルプチュアを習ったアメリカ人の恩師は、全ての技術を包み隠さず、生徒の日本人みんなに教えてくれる方でした。そういう流れもあって、日本の先生方は、自分がチャンピオンになったら今度は教える番、という意識が強く、後進に惜しみなく技術を伝えて新しいチャンピオンを育てていきます。私の教えた子たちのなかにも日本チャンピオンになった子が何人もいますし、世界選手権ではライバルとして戦う方たちがレッスンを受けに来てくれることもあります。もちろん、そういう場合でも技術は一切隠しません。きちんとした技術を伝えることで、ネイルという文化が継承されていくことが大事だと考えていますから。
最近では、韓国やシンガポール、台湾、中国といった海外から習いに来てくださる方も増えています。これからは、そういう方達にも技術を伝えることで、ネイルという文化をより広げていけたらいいなと思っています。

㈱エリコネイル
エグゼクティブマネージャー
井筒貴子さん
http://www.erikonail.com/

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